「白い巨塔」(山本薩夫監督)昭和41年を観て

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 最近古い映画に興味がある。
 昨日はDVDで「白い巨塔」(山本薩夫監督)<昭和41年>を観た。
 最近でも「白い巨塔」はリメイクされたし,主演の田宮二郎はテレビ版の主演も演じている。
 実際,昭和41年にリアルな噴門癌の摘出手術の映像や,田宮二郎の演じる財前五郎という人物のあくなき教授への執念をみごとに描いている。まさに,大学病院のドロドロした権力争いのために患者の生命も犠牲にしてゆくような狂った悪魔のような顔つきがこころに刻まれた。
 田宮二郎はすばらしく活き活きとその悪魔を演じ,その悪魔のまわりでとぐろを巻く医療という名を借りた権力の亡者たちとからみあってゆく。
 財前五郎はついに裏工作の果てに,大学教授の座を手にする。
 そしてかれはその行為のなかで見殺しにした患者の家族に訴えられる。
 しかし,白い巨塔は財前五郎教授を守った。大学教授という医師の誤診は全国の医師会に多大な影響を与える。最後は権力による弱者の切捨てという形で終わる。
 この映画はそのストーリーを最初からわかっていても,そのにんげんたちの胡散臭く,いやらしい,これでもかという迫力有る描写に魅せられてしまう。
 観るたびに,田宮二郎という俳優の狂気の眼には,背筋がぞくぞくするような天才を感じる。

 これほど単純明快なストーリーでなおかつ人をひきつけるのか。
 現代の政治の世界の権力闘争,大企業のなかの人事の争い,企業ののっとり合戦,医療事故をいまだに隠蔽しようとする病院の体質,象牙の塔であり続ける大学,お受験戦争のなかのこどもたち,その他もろもろの現代の魑魅魍魎とつながっているからだろう。
 現代の悪魔はより複雑な権力の網の中で,おのれの狂気を権力や財力でぐちゃぐちゃに増幅している。

 権力をつかんだとたんに,だれでも悪魔になる可能性がある。
 だれでもきっとひとりの弱い人間にすぎないのだから。





http://www7a.biglobe.ne.jp/~unguraziken

 

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この記事へのコメント

ちろちゃん
2005年06月05日 21:03
田宮二郎の白い巨塔を土曜日のお昼から毎回2話ずつ放映していた時があって毎週楽しみに見ていました。画像自体昔っぽさが出ていて懐かしさを感じさせるものでした。もう故人である方々も出ていたりして(太地喜和子とか)田宮二郎はあのドラマにすごくエネルギーを注ぎ込んでいたそうです。元々の完璧主義もあり、ドラマ収録終盤にさしかかった頃からふさぎこむことが多くなったとか女性週刊誌で読みました(ミーハーだなぁ・・)その後ドラマ収録はクランクアウトし、そんな時ドラマ関係者と太地喜和子と3人で飲みに出かけた田宮二郎は機嫌が良かったのか二件目のお店を出る時に「もう一軒行こうよ」と誘ったそうですが二人は断ったとのこと。その後暫くして田宮二郎は自らの命を絶ってしまいました。「あの時3件目に付き合っていたらこんなことになっていなかったかも」とその方は悔やんだそうです。もともとの完璧主義に家庭でも自分の心を開かなかった彼。燃え尽きてしまったのでしょうか。。。
泪のしずく
2005年06月05日 22:56
 ちろちゃん,さん,コメントありがとうございます。
 たしかに田宮二郎さんが「白い巨塔」にのめりこんでいたような気がします。
 テレビのドラマも見ていました。その鬼気迫る演技は,こわいようでした。テレビでは壮絶な病死をすることになったと思います。
 ただ現実にあのような壮絶な最期には,運命的な何かを感じざるを得ません。
 ただご冥福をお祈りするのみです。

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