春眠暁を覚えず

 「うーん,もっと寝かせといてくれよ」
 「だって,今日はサトルの楽しみにしてたお出かけの日よ。ねえ,動物公園に行くっていったじゃない」
 たしかに昨日までは,サトルのおねだりに応えて,たまの日曜日を子供のために過ごしてみようと思ったのだが。
 「なんか身体がだるいんだよ。風邪でもひいたかな」
 「困ったわね。あたしひとりじゃ,サトルもお父さんがいっしょでないと・・・」
 妻の言うこともわかる。でもサトルに風邪をうつしては困るし。とにかく考えていてもしょうがない。
 「ともかく,朝飯食って,風邪薬でも飲むよ。だいじょうぶさ。マスクでもして,風邪うつさないようにするからさ」
 「そうね。でもあなた熱はかった方がいいわよ」
 いちおう熱は計ってみたが,36度5分という平熱だった。これなら風邪といってもたいしたことはない。
 「よし,行くぞ」
 その時,だれかがいないことに気がついた。
 サトルがいない。サトルがまだ寝ているようなのだ。
 サトルを,起こしにいこう。わたしはサトルの寝ているベッドに近づいた。
 とたんに,サトルが顔を真っ赤に汗をかいているのに気がついた。
 妻が心配そうにサトルの額に手のひらをのせている。
 「すぐにお医者さんにつれていかないと,サトル,残念だけどお医者さんにいこうね」
 サトルはうーんとうなって応えられないようだった。
 わたしはすぐに着替えて,車のキーを手にしていた。

 幸い,サトルの風邪はインフルエンザではなかった。熱も薬のおかげで下がってきたようだ。
 妻はほっとした顔をして,サトルの寝顔をやさしく見つめている。
 わたしはサトルにことばをかけてみた。
 「暁<サトル>,ゆっくり眠るんだ。朝はまだ長いからね」
 動物公園には来週の日曜日に行くことになった。






<これはまったくのフィクションであります。死ぬまでは妻も子供もいません,念のため>



http://www7a.biglobe.ne.jp/~unguraziken

 

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この記事へのコメント

シロ
2005年03月07日 18:59
もうすぐ春だ きゃっきゃっ 動物園日和だっ 
死ぬまでに書き残したいこと
2005年03月07日 19:15
ただ,花粉症で目がかゆいんですけど。

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