いじめられっ子からの手紙

 拝 啓

 お元気ですか,先生。ぼくはどうしても今,先生に話したくてしょうがないことがあって,手紙を書いてしまいました。
 悲しみは時間とともに薄れてゆくといいますが,ぼくの悲しみは時間とともに増してゆきます。どうしてぼくは自分をたいせつにできないのでしょうか。どうしてぼくはみんなの言うとおりにすることで,みんなをダメにしてゆくのでしょうか。
 Kさんが学校に来なくなったのも,ぼくのせいかもしれません。ぼくは恐かったのです。みんながぼくのことをいじめるだけでなく,ぼくの存在をどんどん別の大きなものに変えていってしまう。ぼくがかかわるものが,すべて穢れた唾棄すべきものであるように,ぼくが怪物になってしまったのです。
 ぼくはKさんとちょっと話をしただけです。そのとたんに,Kさんは怪物によってとんでもないものに変えられてしまいました。Kさんは,触れてはならない,忌まわしいものになってしまったのです。
 ぼくはKさんを見ないようにしていました。もう二度とKさんとことばをかわすことはないと思いました。それでも,みんなはいったん怪物の餌食になったものは,永遠に怪物と同類であると信じました。それによってKさんは魔女狩りの魔女にされてしまいました。みんなの悪意と恐怖と無視の暴力がKさんを襲いました。Kさんはそれに耐えられずに,学校に来なくなりました。
 ぼくはだれかがKさんはもうこの町からいなくなったと聞きました。
 ぼくは自分が怪物であることはしょうがないと思いますが,他のひとが犠牲になるのはとても悲しいのです。ぼくが触れたものぼくが関わったものぼくの視線にぶつかったものが,そのうちすべて怪物と同類のものになってゆくでしょう。ぼくはこのままでは悲しみにつぶされてしまいます。

 先生,ぼくの最後の手紙を読んでくれてありがとうございます。
 怪物は自分の姿を永遠にこの世から消し去ることにしました。
 これからはだれも怪物の被害を受けるひとはいなくなります。
 いろいろとありがとうございました。








                                           

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この記事へのコメント

2005年04月18日 16:58
ブログでなくてもよいですから、もっともっと心の中の深いところ、誰にも話せないでいることなども、ノートでも何でもよいので、一度赤裸々に吐露してしまうのがよいと思います。
それは、どこに問題があるのか、何か発見があるはずだからです。
文字にすることによって大きな発見があったり、癒しや解放につながる何かをご自身が発見することになると思います。
是非、勇気を持ってなさってください。ご自分のために。取り越し苦労と持ち越し苦労が大半であることに気づくと思います。
誰かに話すことで、自分を解放することができるならそれもお勧めします。その方が客観的に観ることができるかもしれませんものね。
これは、私自身が全て体験しているから言えることなのです。*^-^*
2005年04月18日 17:24
コメントありがとうございます。
この作品が自分の問題と近いことは確かです。もう少し深く自分で掘り下げてみれば,もっと深い作品が書けるのかもしれません。
 まず自分自身を解放することがたしかに必要なのかもしれません。
 まだまだ途上ですΘ^^Θ
2005年04月18日 23:30
途上・・・。確かに誰しもがですね。*^-^*
自身の解放は最優先課題だと思います。
そして、解放できたとき、いえ、途上であっても解放できた分ほど、軽さが出てくると思います。
う~ん、この先のことはお節介でしょうから止めにしましょう。*^-^*

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