ヨードチンキの夜

傷口に触れると痛みが増す

それでも傷は夜に疼く

ヨードチンキの匂いがする

きみがつけてくれた痛み

きみにかこつけて夜を呪う

噛み砕いた鉛筆の芯

縦笛の中に生えた黴

おまえは役に立たない膿

風船を空に舞い上げる

墜ちずにぐんぐん青空に向かって

夜が消えてゆく

ヨードチンキの匂いが鼻につき

きみの風船は遙か彼方に

見えなくなって空は真っ黒に

いや傷口はどす黒く変色し

ヨードチンキが変色しながら

攪拌する夜の静寂

きみはきっと異空間に棲んでいる

おまえはよこしまな傷口でも舐めていろ

だれかがさっきからつぶやいている

命令ではなくささやきでもなく

断定でもなく推測でもない

ただの自分勝手なつぶやき

それが傷口に沁みて痛い

もしかしてやつらはみんな

ヨードチンキのまわし者なのか

きみの消えた空には

ささやかな星の光がひとつふたつ

傷口はまだ塞がる気配もなかった


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