とある短編集

読み落としていた一編

「競争」という小品

彼らは距離を競っていた

そのひとつひとつに命をかけていた

それは勇気と自分の価値を試すという

両面のたたかいだった

そのテーブルの上に仰向けに寝転び

テーブルの端に頭が付くようにする

それから中華包丁で

一気に首から切断される

彼らはテーブルから遠くに飛ぼうとする

それは意識ではなく執念である

なぜかその身体からはまったく出血することがない

なぜならもはや血がすべて抜かれ

生きている状態ではないからだ

それでも亡者たちの執念のたたかいはつづく

テーブルから壁をつきやぶり

この家の外にまで出ようとする首たち

斬られた瞬間になにかがよみがえり

それが力となり各自の過去を一瞬に首に凝縮する

人生のたたかいは

死後も残っている

その首たちは

一瞬だが表情をつくり

その個性を表現するらしい



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