無欲という欲

苦しみを浴びながら

今まで欲にもてあそばれてきた

ここまでたどりつき

痛みやむなしさや

せつなさや絶望感に

錐揉みぐちゃぐちゃにされながら

とうとう無欲という欲にたどりついた

ここにはお金もなんの意味もなく

明日も今日もなく

苦悩もあきらめもなにもない

ただ真空の風が吹き

それをつたえる触覚もない

順番に土に還る人たちを

見送るさみしさも

ここにいるという存在感もなく

ただ浮かぶように墜落しているだけ

それも感覚のない永遠に包まれ

時間も空間もそれらしきものはなにもない

はじめて

すべてを開放され

すべてを閉じられた

矛盾を超えた清冽な空虚

死を待ちながら

先にたどりついた可逆的な平穏

永遠に勃起しない陰茎から

迷いのない尿漏れが

なにも恥ずかしくないほど

無欲という欲

この記事へのコメント

才木広之
2018年05月28日 19:35
幸せでありますように

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