胎児を探す旅に出る

胎児はだれにも育てることはできないのか

やがて女が家に乗り込んできて無造作に床を探しまわる

妻は自分の部屋に入ったきり出てこない

自分の夫が女を連れ込んでも無関心だ

あなたもいっしょに探してよ大事なピアスなんだから

胎児は捨てられちゃった

あんなの拾ってくるからよ

それでもぼくはあの胎児を自分の子供のように育てるつもりだった

あなたにできっこないでしょう

会話が成立しない

ぼくはこの世の人たちと縁がないのかもしれない

「胎児を探す旅に出るよ」

急に「」書きになる

「勝手に行ってらっしゃい。奥さんはどうするの。」

「彼女は1人で生きている。はじめからずっと」

「あたしのピアスは? 」

ぼくは旅の支度をはじめていた

まずはゴミの集積場から

たぶんぼくが生きている限り続くだろう旅を

玄関からぼくは大きなリュックを背負って旅立った




この記事へのコメント

この記事へのトラックバック