緘口令

 今朝から職場の様子がおかしかった。しばらくすると、なにやらひそひそ話をする人たちがあちらこちらに見受けられる。なにか事故か事件か。たぶん職場の中で起こったことにちがいない。
 インターネットにつながったパソコンを見ているうちに、あるひとつの情報が目に入った。
 
 
ある郵便局で配達先のマンションから飛び降りて自殺した職員がいる模様です。ただし現在、その事実は確認できません。


 ふと疑問が頭に宿った。わたしの住んでいるマンションで、最近誤って配達された郵便物のことで苦情を言っている人たちがいた。
 ただそんなことで人ひとりの命が失われるはずはないだろう。
 でも、もしかしたら・・・。
 わたしはある詩人の詩を思い出した。

 
善良な郵便配達夫
 一度もストはやらないが
 もっと始末が悪い
 なぜなら彼は
 全部 誤配する
 生涯彼はただの一度も
 正しく何かを配達することなどない
 人間の書いた文字など
 彼はまるっきり読めないからだ 読もうともしない
 宛名など彼は無視して
 奇妙な性癖によって
 葉書や 小包郵便を配る


 中江俊夫という詩人だった。「不作法者」という詩集を買ったことがある。
 宛先なんてどこにでもあるだろう。人間の書く文字はわかりづらくていけない。
 わたしのマンションには表札がない。レターボックスにはナンバーしか書いてない。どこに配達してもいいのではないか。わたしはふと自分宛の葉書を粉々に破り捨てた。
 今でも緘口令は敷かれているのだろうか。
 もしかしたらその原因は・・・。

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